ショーセイの新米ジム会長奮戦記
新田 渉世
(元東洋太平洋バンタム級王者)
チケット販売
ボクサーのファイトマネー、特に4回戦や6回戦ボクサーのそれは、本人が出場する試合のチケットで支給されることが多い。というよりそれが普通である。ボクサーにとってみれば、支給されたチケットを売りさばいて現金化しなければ、現実のファイトマネーを手にすることは出来ない。昨年10月の新田ジムプロデビュー試合では、なるべく選手に負担をかけないよう、「チケット支給」か「現金支給」かのどちらかを自由選択出来るようにした。
ちなみに4回戦ボクサーのファイトマネーは現在6万円である。「チケット支給」の場合、業界の慣習でその倍額の“12万円分のチケット”がファイトマネーとして選手に手渡される。もし全て定価でさばくことが出来たならば、選手は通常の2倍の現金を手にすることが出来る。この興行で試合に出場した西禄朋、竹内俊介は「チケット支給」、石井フランシスは「現金支給」を選択した。
田舎から上京してきた青年は、近隣に友人などほとんどいない為、応援に来てくれそうなのは、せいぜいアルバイト先の同僚か雇い主くらいだ。しかしそのような人達に対しては、お世話になっている手前、無料で招待したり、格安で販売するというのもよくある話である。更に、ファイトマネー6万円(チケット12万円分)は「チケット支給」されるにもかかわらず、選手はその33%=19,800円という“現金”をマネージャー(ジム)に支払わなくてはいけない。おまけに「プロボクサー健康基金(試合毎に支払う掛捨ての保険金)」として1,800円、源泉徴収税1,000円を加えた合計22,600円をジムに支払わなくてはならないのだ。試合の前後は調整のために多少アルバイトを休むのでその月の給料は減ってしまう。ジムには現金を支払わなくてはならない。地方出身の選手は、実際ほとんどチケットが売れない為、試合をすると赤字になってしまうわけだ。
「なんてひどい話だ!」4回戦当時、神奈川県出身でしかも学生という恵まれた環境にあった私は、応援に来てくれる友人が数多くいた為、チケットが売れずに困るということはほとんどなかった。しかし、束でそれをゴミ箱へ放り込む地方出身のジムメイトの姿を見ながら、プロボクサーのファイトマネー体系には憤慨していたものだった。
ところが、立場が変わって寝返ったわけでは決してないが、プロモーターやマネージャーの立場に立たされた今、見えていなかったことが明らかになってきた。まず興行がなければ選手は試合に出場することが出来ない。そして興行主、つまりプロモーターは会場費その他の経費をチケット販売等で賄わなければならない。黙っていてもチケットが飛ぶように売れる興行でもない限り、選手のファイトマネーを現金で支給することは困難なのだ。ジムのチケット販売力や、後援会の協力なども、興行の成否を左右することになる。
結局、ボクシングそのものの人気についてまで議論しなくてはならない話ではあるが、それはまた別の機会に回したい。まずはこの初めての共同プロモートで、選手の利益を守りつつも、ジムが赤字にならないように、どう乗り切るかが問題だった。
新田ジム 最新情報
・新田ジムでは、ボクサーの安全を最大限考慮してゆく為に、スパーリングをおこなう練習生全員に対して、CT検査を受けることを義務付けました。
・来週4/13(火)に後楽園ホールでおこなわれる「第61回東日本新人王予選」にて、ライト級にエントリーする竹内俊介が、新日本タニカワジム・山田悠太選手と対戦します。
・会長の新田渉世は、平成16年度の東日本ボクシング協会理事(書記担当)に着任致しました。
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