ショーセイの新米ジム会長奮戦記

新田 渉世 
(元東洋太平洋バンタム級王者)


 デビュー戦

 石井フランシス、西録朋、竹内俊介の3名のプロ選手が誕生し、いよいよ彼らのデビュー戦について考えなくてはならない時期になってきた。しかし、何をどうすればよいのか、本当に全く分からない。そんな中、古巣の金子ジムから共同プロモートの話を持ちかけられた。「共同プロモート?」ん〜、更に何が何だか分からないことになってきてしまった。
 ボクシングの試合というのは、まず興行の主催者=プロモーターありきで、このプロモーターが後楽園ホールなどの試合会場を借り、そこで行う試合をマッチメークする。カードの人気に応じて席料などを決め、ポスター等を作製して宣伝する。テレビ局と提携していれば放映料なども収入となるが、基本はやはりチケットの売上げである。また大きな興行であれば、スポンサーなどが費用をバックアップしたりもする。その中から必要経費、選手のファイトマネー等を支払い、残りがプロモーターとしての利益となる。ちなみに後楽園ホールでの興行経費(会場費、宣伝費、チケット・パンフレット・ポスター制作費、審判料etc)は、一般的に100万円くらいとなる。
 これに選手のファイトマネーを捻出しなくてはならないので、プロモーターはチケットの売れ具合によって赤字になることもある。よって現代のボクシング人気では、選手にチケットをさばいてもらうしかないのが現状である。
 ―というプロモートを「一緒にやらないか」という話なのだ。まず以上の内容を理解し、採算が合うのか、ジムや選手の物理的・精神的・経済的負担はどの程度なのかを考えなくてはならなかった。また将来プロモーターのライセンスを取得して単独自主興行を行えるようになるためには、共同プロモートを合算で3興行分以上こなさければならない規定がある。ライセンス取得を志向する身としては、極力これをこなしてゆきたいところだった。
 ひとつの興行は合計50ラウンドくらいで、共同プロモーターが出場ラウンド数×2万円〜2.5万円を持ち寄って約100万円の費用を分担する。今回、フランシス、西、竹内の4回戦ボクサー3名分の場合、12ラウンド×2万円で24万円の経費を支払うことになる。選手のファイトマネーは別途チケットで支給されるが、新田ジムでは話し合いにより現金支給も選択出来る制度をとっている為、その場合は6万円(4回戦のファイトマネー)×3人分で18万円を捻出しなくてはならない。つまり最大で合計24万円+18万円=42万円を作り出さなくてはならないわけだ!
 ただこの興行に出場した西、竹内は応援してくれる知人が多い為、ファイトマネーは全額チケット支給し、フランシスは半額チケット支給とした。これで6万円×2人分プラス3万円×1人分で15万円分削減することが出来た。結局合計で27万円を捻出すればよいことになり、ジムとしてのチケット販売力と選手のチケット販売力を考慮し、私はこの話に乗ることを決断した。
 ふぅ〜・・・、元来数字は苦手なのだが、どうやらそれを避けて通れないことに足を突っ込んでしまったようだ。

 新田ジム 最新情報

・ 笈川慎也のデビュー戦が決定しました。岡田祐也と同じ4/26(月)に行われる「トクホンVダッシュ第57弾」にて和田直樹(花形)と対戦します。

・ 3/14(日)「平成15年度神奈川県女子アマチュアボクシング資格認定会」において、白根美寛、松島利也子、他1名の計3名が試合出場資格であるC級に認定されました

・ 3/16(火)、会長の新田渉世が、神奈川県秦野市立本町中学校で講演を行い、同行した西禄朋、竹内俊介の両選手はスパーリングを披露しました。新田ジムホームページには生徒からの感想が書き込まれています。

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新田渉世(にった・しょうせい) 
87年、横浜国大2年の時にプロデビュー。96年10月にOPBFバンタム級王座を獲得し、「国立大卒初の王者」としても話題となった。
34戦23勝(17KO)9敗2分

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