ショーセイの新米ジム会長奮戦記
新田 渉世
(元東洋太平洋バンタム級王者)
"一日無料体験"からのスタート
新田ジムでは、「ボクシングに興味はあるんだけど・・・」と、なかなか一歩が踏み込めない人達のために、"一日無料体験"というサービスを行っている。運動着、シューズ、タオルを用意すれば、一般の練習生と同じメニューを一通り"手取り足取り"教えてもらえる。勿論、その人の体力に応じて指導するので、「付いてゆけない」という心配は全くない。ジムの雰囲気を感じてもらい、実際にどういうことをするのかを知ってもらうことが目的のサービスなのである。 この"一日無料体験"にやってきた高校1年生のT君について話そう―。 ある日、友達とふたりで運動着、シューズ、タオルを持ってやってきたT君は、おとなしい感じの高校生だった。「ボクシングをやってみたい」と"一日無料体験"に挑戦したのはいいが、ロープを跳び始めると、途端に"滝のような汗"が噴出し、眉間にシワを寄せて今にも"死にそうな表情"になった。ラウンドの合間に「無理するなよ。大丈夫か?」と心配になって尋ねると、「はい、大丈夫です」とニコニコと答えた。どうやら大丈夫そうなので2ラウンド目を続けさせると、同じように"死にそうな表情"でロープを跳んでいた。気を付けながら見ていたが、何とかメニューをこなし、"一日無料体験"を終了した。「どうだった?」と尋ねると、満足げな顔で「入会したいんですけど・・・」とニコニコと答えた。 正式入会したT君は、毎日毎日休まずジムに通ってきた。技術も体力もどんどん向上し、入会2ヶ月ほどでスパーリングをこなすまで成長した。しかし、"滝のような汗"と"死にそうな表情"は相変わらずだった。週に7日、日曜日も休まずに通ってくるT君に、「たまには休んだほうがいいよ」と言うと、「他にすることないんで・・・」とニコニコと答えた。聞けば、いろいろ複雑な家庭環境らしく、T君にとってはジムが唯一の心の拠り所だったようだ。 めきめきと力をつけてきたT君は、入会して僅か4ヵ月後に茅ヶ崎市のアマチュア大会に出場することになった。初めての試合で、"滝のような汗"と"死にそうな表情"で戦うT君を見ていたら、何か熱いものが込み上げて来てしまった。3ラウンドを存分に戦い抜き、判定で勝者コールを受けたT君は、片腕を申し訳なさそうに揚げてニコニコと笑っていた。 T君は、約1ヶ月後に行われた横須賀市のアマチュア大会にも出場したが、この試合はRSC負けを喫してしまった。相手が「ホントに同じウェイト?」というくらい大きな選手だったせいもあり、何も出来ないまま攻め込まれて終ってしまった。さほどのショックもなく、その後もT君は淡々と練習を続けた。そしてある日、私のところへ来てモジモジしながらこう言った。「あのぉ、プロ選手コースになりたいんですけど・・・」 彼にとって、ボクシングが、そしてジムがますます大事な存在になってきていることを感じた。責任の重さに身の引き締まる思いだった。そして、T君がますます可愛く思えた。
新田ジム 最新情報
・ 1/20(火)からスタートした「冬期限定女性クラス」が2/14(土)に終了し、2/18(水)には恒例の打ち上げパーティが盛大に行われました。卒業生達は2月一杯、一般会員として無料トレーニングを続けます。 ・ 2/14(土)発売のワールドボクシング本誌に、新米ジム会長の新田渉世がリレーコラム「ボクサーが書く」を執筆致しました。 ・ 平成16年度東日本新人王予選トーナメントに、竹内俊介、ハンマー浜里、志賀悠、佐藤祐樹の4名が正式に申し込みを行いました。
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