ショーセイの新米ジム会長奮戦記
新田 渉世
(元東洋太平洋バンタム級王者)
胸騒ぎのプロテスト受験第1号
JBジムスパーリング大会からわずか9日後、石井フランシスは、プロテスト試験会場である後楽園ホールへ向った。新米ジムの特徴かもしれないが、ひとつひとつの行事がジムを上げての大騒ぎ―。この日も会長、トレーナー、その他ぞろぞろと列を連ねて行進して歩いて行った。しかし主役の石井フランシスが一番元気が無い。9日前のJBジムスパーリング大会で、生涯通じての初黒星を喫したことからまだ立ち直っていないようだった。眉毛は下がり、大きな瞳はどんより沈んでいた。 市場の仕事を終えて駆けつけた孫トレーナー(強面のS君)の顔を見ると、フランシスの顔にいくらか安堵の色が浮かんだ。―というより、新米会長の気持ちがいくらか楽になったのかもしれない。孫トレーナーの存在は、私にとってもいろいろな意味で支えになっている。手際よくフランシスにウォーミングアップをさせ、てきぱきと準備を進める姿は"ベテラン"の風格さえ漂わせている。 すっかり自信喪失してしまっているフランシスだったが、アマ18戦全勝のキャリアは伊達ではなかった。実戦テスト(スパーリング)が始まると、下がっていた眉毛もキリッと真っすぐになり、パートナーを圧倒してスタンディングダウンを奪う大健闘を演じた。 その日のうちに、電話で「石井フランシス、プロテスト合格」の確認が取れ、晴れて新田ジムプロ選手第一号が誕生した。それからというもの、下がっていた眉毛も少し真っすぐになり、日仏ハーフは元気を取り戻していった。 何だかんだ言っても、プロ選手がひとり誕生するとジム全体の盛り上がりが違ってくる。周囲の目も「ああ、本物のボクシングジムだったんだ。」と認め始めてきているのが肌で感じられた。それでも地域ではまだまだ「新田ボクシングジム」の認知度は低い。新米会長の認知度は更に低い。"ジャージにママチャリ"で、ジムの広告やキャンペーンのチラシを配って回る"小柄で童顔"の新米会長は、よく"使いのお兄ちゃん"と勘違いされる。「知ってる人がね、お宅の会長さんにお世話になってるって言ってたわよ!」といわれる時は、「あの、一応ボクが会長なんです・・・」と遠慮がちにPRするようにしているが―。 協栄ジム2代目会長の金平圭一郎氏は、間違っていなければ私とほぼ同い年。あちらは"大"協栄ジムの会長として、恰幅の良い風体をスーツに包み、髪はオールバック、浅黒い肌に鋭い眼光と貫禄十分である。しかしまあ、ひとそれぞれだから仕方ないだろう・・・。 いずれにしても、ジムオープンからわずか4ヶ月での、フランシスのプロテスト合格は少なからず新田ジムを盛り上げた。何よりもフランシス本人の自信を回復させた。「会長〜、いろんなお店で顔を覚えられちゃって、悪いこと出来なくなっちゃいましたよ〜。」とニヤニヤ笑うフランシスを見て、"使いのお兄ちゃん"はひとまず安心した。
新田ジム 最新情報
・1月26日(月)西禄朋、竹内俊介のプロ第2戦、佐藤祐樹のデビュー戦が行われます。
・翌1月27日(火)、井上真(30)がプロテストを受験します。年齢的にラストチャンスの井上は、正月返上で練習に打ち込んできました。新田ジム8人目のプロ選手誕生が期待されます。
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