ショーセイの新米ジム会長奮戦記

新田 渉世 
(元東洋太平洋バンタム級王者)


 3人の出稽古スパーリング、それぞれの結果

 

  「第1回新田ジムスパーリング大会」を終え、2週間も経たないうちに石井フランシス、西禄朋、竹内俊介の3名は、JBスポーツ(高橋ナオト会長)のスパーリング大会に出場することになった。新田ジムのスパーリング大会とは違い、いくつものジムが集まって実際に勝敗を付ける"試合形式"のスパーリング大会である。スパーリングとはいえ、初めての遠征試合に3人はいささか緊張ぎみだった。
 3人とも既にプロテストの受験申請済みで、特に石井フランシスは、このスパーリング大会の9日後がテスト受験日だった。30歳の日仏ハーフは、3人の中でもキャリアは抜群で、フランスでのアマチュアレコードは18戦18勝というすばらしいものだった。ラストファイトから"ブランクが9年"というのが心配の種だったが、ジムワークを見る限り、動きはまだまだシャープである。
 西禄朋は3人の中で一番キャリアが浅く、交通事故のリハビリ目的で入会してきた?当時は、こんなに早くスパーリング大会に出場したり、プロテスト受験申請出来るとは思っていなかった。しいて言えば"ストリートファイト"のキャリアは抜群で、ラストファイトからの"ブランク"もそれ程ないらしい。ジムワークを見る限り、動きはまだまだ素人っぽい。
 竹内俊介は「以前Oジムに1年程通っていた」と言うだけあって、新田ジムオープン当初から他の練習生達とは一味違う身のこなしを見せていた。一応Oジムに挨拶の電話を入れると、「そんなのいたっけな―?」という具合だった。竹内曰く、「オレ、練習サボってばかりいましたから・・・」後日Oジムから電話があり、「思い出した、思い出した。大丈夫、プロじゃなければわざわざ電話しなくていいですよ。」と快諾してくれた。しかし―、1年いて名前を覚えられないとは、いかにサボっていたかが分かる。新田ジムで心機一転やり直そうという姿勢で入会してきた竹内君・・・今は"彼なりに"頑張っている。
 さて、スパーリングの結果だが、サボり癖の竹内がKO勝ち、18戦全勝のフランシスとリハビリ目的で入会した西は僅差の判定負けを喫した。皆それぞれにいいファイトだった。新米会長は、それだけで胸が一杯だった。無理もないが、お調子者の竹内は案の定、調子付いてうかれていた。楽天家の西はその場は激しく悔しがっていたが、岐路につく頃にはケタケタと笑いを振りまいていた。一人どんよりムードだったのがフランシスだ。スパーリングとはいえ、彼にとっては生涯で初黒星となるわけだからこちらも無理もないか・・・
 それぞれいろいろな個性があり、いい所を伸ばしてやるのが会長の仕事だと考えている。ついつい欠点を指摘して褒めることを忘れがちになってしまうが、それは本意ではない。会長職は"育児"と似ていると思う。"育児"とは"育自"なり―実は自分を育てることなり―って、分かっちゃいるけどなかなかねぇ・・・

新田ジム 最新情報

 12月28日〜1月4日まで、新田ジムは冬休みです。但し、プロ選手と、プロテスト準備期間に入っている一部選手は、元旦以外、正月返上でトレーニングに励んでいます。

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新田渉世(にった・しょうせい) 
87年、横浜国大2年の時にプロデビュー。96年10月にOPBFバンタム級王座を獲得し、「国立大卒初の王者」としても話題となった。
34戦23勝(17KO)9敗(3KO)2分

新田ボクシングジム   
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