ショーセイの新米ジム会長奮戦記
新田 渉世
(元東洋太平洋バンタム級王者)
口の減らない(?)古参スタッフに支えられ
早いものでNo.19となったこの奮戦記だが、「会長と奥さん以外で一番初めからこのジムにいる人間がまだ登場してこないってのは、一体どういうことですかね」と、つっかかってくる男がひとりいた。事務スタッフのIちゃんだ。数年前に飲み屋で知り合い、特にそれ以上の関係でもなかったこの男が―、どういう訳だけか、今ではジムには欠かせない存在になっている。 もう一人、立ち上げ当初からいろいろ手伝ってくれたのは、かつて私が学生時代に家庭教師の教え子だったDちゃんだ。彼はKジム、KYジム、Tジムと練習生として渡り歩いた経験から、新田ジムのアシスタントトレーナーとして活躍している。
ボランティアで働いてもらっている二人だが、それぞれ昼間の仕事を終えた後、基本的に毎日"出勤"してもらっている。ジムが閉まる夜10時半まで諸々の業務をおこない、最後に掃除と戸締りをして帰る。休む時は事前に連絡を入れなくてはならない。信じ難い労働条件だが、そんなスタッフに支えられて"海賊船−新田丸"は航海を続けている。 意外と生真面目だが"減らず口"の多いIちゃんと、マイペースで芸術家タイプのDちゃんは、ジムオープンパーティでも活躍してくれた。
パーティ会場に設置した「新田ジムオープン披露」と書かれた看板の製作はDちゃんに任せた。芸術家タイプのDちゃんは、見事なレタリング技術で素人とは思えない作品を作り上げた。手の空いたIちゃんにも少し手伝ってもらったが―「Iちゃん、何かここちょっとハミ出してるみたいだけど・・・」と文句を言うと、「気に入らないなら自分でやったらどうですか」といつもの"減らず口"が返ってきた。疲れていたので放っておいた。 "減らず口"を叩きながらでも本当によく働いてくれるIちゃんには、ジムお披露目式での音響担当として神経をすり減らしてもらった。来客を迎える時のBGM、コウジ有澤と大嶋宏成の特別スパーリングの入場音楽、ラウンド間のBGM、終了の盛り上げ音楽等々「失敗は許されないからね」と、小度胸のIちゃんに意地悪なプレッシャーを与えて、日頃の"減らず口"の仕返しをしてやった。結局お披露目式は大成功で、音響もほぼ完璧な出来栄えだったが・・・ だんだんジムの練習生も増えてきて、経営も軌道に乗り始めた頃、「Iちゃん、時給払おうか?」と持ちかけると、「雇用関係を結ぶと、好きなこと言えなくなりますからね・・・」と、生活は苦しいクセに頑なに拒んだ。先が全く見えない立ち上げ当初、「いつか儲かったら皆でいい思いしような」という私に、「経営者ってのは儲かるとそんなこと忘れてしまうもんですよ」と"減らず口"を叩いていたIちゃんとは、相変わらず微妙な関係が続いている。
新田ジム 最新情報 9月23日(火)横須賀市アマチュア大会に出場した5名のうち、清水 遊1名のみが判定勝利で、あとの4名は敗北となってしまいました。それぞれ良い経験として次回につなげたいものです。
いよいよ石井フランシス、竹内俊介、西 禄朋、3選手のプロデビュー戦まで、あと1週間を切りました。3名とも仕上がりは上々で、本番がとても楽しみです。
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