ショーセイの新米ジム会長奮戦記
新田 渉世
(元東洋太平洋バンタム級王者)
チラシ配りから記事の売り込みまで
なりふり構わずジムをPR
大きなスポンサーがついていない以上、まず沢山の会員を確保して月謝を集めなければ、ジム運営をしてゆくことは難しい。名前だけで人をたくさん沢山集められるIジム、Kジムなどの元世界チャンピオン達のようにはいかない。なりふり構わぬ姿勢で宣伝活動をおこなった。 駅近くでのチラシ配りでは、駐輪場のオヤジに「通行の邪魔だ」と隅へ追いやられ、学校の前では、教員に犯罪者を見るような目で睨まれた。美容室へポスター掲示のお願いに行くと、面倒くさそうに「預かるだけね!」とはき捨てるように言われた。(クソォ、今に見てろ!)よくある、昔ながらのサクセスストーリーの主人公みたいな気分だった。なかなかうまくはいかない。 一日でも早くジムの存在をアピールする為に、看板の設置は何よりも急いで取りかかった。ジムは3階建てビルの1階部分で、すぐ目の前は大きなバス通り。壁一面に大きな看板を設置すれば、宣伝効果は絶大である。ところが了解済みだったその話は、「ビルの外観を損ねるから―」という理由で本契約時には取り消されてしまった。(そりゃないだろ・・・)文句を言ってもよかったのかも知れないが、やっとめぐり合った"ボクシングジムOK"の物件だ。泣く泣く契約書にサインし、窓にカッティングシートを貼る方法で涙を呑んだ。やっぱりなかなかうまくはいかない。 カッティングシートとは別に、入り口横に少し小さめの看板も設置した。この看板は予想以上に素晴らしい出来映えだったが、全てが完成したのはオープン直前だった。少しでも早くジムの存在をアピールしたかったのだが・・・ホントになかなかうまくはいかない。 新田ジムは駅や線路から見える場所に在るわけではないため、ホームに大きな電飾看板を設置することにした。これが意外と安く、駅によっては専門誌のジム広告よりも安い。見学者や入会者からアンケートを取ってみると、この駅看板は情報入手元ランキングの上位に食い込んでいる。たまにはうまくいくこともあるもんだ。 メディアの力を利用するのも作戦のひとつだった。宣伝費をかけることなく、少しでも多くのメディアに取り上げてもらうため、K通信社に電話をかけて各新聞社へのニュースの配信を依頼した。しかし、担当者からの返事は冷たいものだった。「"初の国立大卒王者"って言っても何年も前の話でしょ。悪いけどニュースバリューに欠けるかな・・・」ニュースバリューがあるかないかは、配信先の新聞社が判断することではないのか?!要するに門前払いということだ。私はめげずに全新聞社に自分でファックスを配信した。 結局一般紙3社、スポーツ紙3社、地方紙1社が、新田ジム設立を記事に採り上げてくれた。そのうちの数社はかなり大きな紙面を割いてくれていた。予想通り反響はまずまずで、初めは冷ややかだった周囲の目もだんだん変わってゆくのが分かった。 振り返ってみると、なりふり構わぬ姿勢でおこなった宣伝活動は、まずまずの結果だったようだ。
新田ジム 最新情報
8月3日(日)におこなわれた、第2回新田ボクシングジムスパーリング大会は大盛況だった。10月1日(水)にデビュー戦が決まっている石井フランシス、西禄朋、竹内俊介らも3大メインエベントで会場を沸かせた。 9月3日(水)には、岡田祐也、浜里幸広、志賀悠、佐藤祐樹、前田弥ら5名のプロテスト受験が確定した。
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