先日。

瀬藤、負けちまった。

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「俺は佐々木さんにはなれなかった」なんて言ってたそうだが。

世界ランカーとやって負けるなら、俺より全然マシなんじゃないかと思う。

俺からすれば若手のイメージだったが、はや51戦。

立派なレジェンドだ。

時は流れるんだなぁ…。



さて、今こそ出そう。


前回の試合後、応援に来てくれた方々に送ったメールより抜粋。



>>

判定は向こうでした。


拳を交えれば、相手が大体どんな人間なのか分かります。

石川は、真っ当で真っ直ぐなボクシングでした。

確かに低めだったブローを大袈裟に痛がったりしてた場面はあったものの、それは駆け引きの範疇で。

実に、正々堂々な戦い方でした。


判定が出た直後。

私のコーナーの近くで。

目を見て真っ直ぐに言われました。


「昔から大ファンでした。ありがとうございました」


……むしろ、嫌なヤツであって欲しかった。

そしたらアノヤローコンチキショーとストレートに憎めていたのに。

敵ながら天晴れな人間で。


……そして、試合後。

ドクターの検診を終え、シャワーを浴び身支度を整え、ホール5階を通り帰ろうとすると。

「コンニチハ」とカタコトだけど流暢な日本語を話す黒人男性。

「もう10年前、協栄の瀬藤選手と奥さんと私とあなたで食事しました。覚えていますか?」

「……すみません、覚えてません」

「そうですか。その時知り合ったボクサーの方と私の息子が今回試合すると聞いて、これも何かの縁なのかと思いました」

「……あなたは?」

「私は、石川元希の父親です」


……正直忘れてたけど、もう10年以上も前、まだ石川元希が子供の頃、そのお父さんと食事に行ってたみたいです。

お父さんも、勝利を偉ぶるでもなく、キチンとした紳士の方でした。

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奇妙な縁だな……。

さらに続く話もあるけど、また今度で。


↓格闘ランク1位は、近いようで遠い。

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