村田は何故、負けたのか | リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論

リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論

マニアの隠れ家を目指します。
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世間的な注目度が大きかっただけに反響もかなりありましたね。

村田vsエンダムの判定結果に関しての議論が賑やかですが、これだけ良くも悪くも世間的な反応があったのは亀1vsランダエタの1戦目以来か。

テレビ観戦しながらペーパー採点してたのですが、私的採点は114-113~115-112の範囲で村田勝利。ただ、実況の雰囲気程は離れてない印象だし、手数の少なさが気になったのは事実。

終わったときの印象は「思いのほか、競ってるかも。」、スプリットになることは想定しましたが、村田の勝ちになるのかなあという程度です。

そして、あの判定ですが、意外性はあったものの、十分あり得るというのは感じました。だから個々で納得しかねる感想を持つ方がいるのは十分理解できるものの、不当判定とまでは言い難い。

まず、有効打>手数>リング・ジェネラルシップというのがおおまかな採点の優位性を示すものですが、AとCでは多少の見方の相違があるのは否定できない。

この日の流れとして、意外と重要だったのは、比嘉vsエルナンデスの4Rまでの途中採点。比嘉がダウンを奪ったものの、途中まで2-1でエルナンデス優位でした。

つまりはダウンを奪ったラウンド以外はすべてエルナンデスと3名のうち、2人までが判断したということ。ここがポイントでないのか。

比嘉もジャブをせわしなく出すタイプでなく、圧力かけて一気に強打で仕留めるタイプだけに、このスタイルではラウンドを取りにくいということが示唆されてる。

WBCであってもこういう内容になったのは重要かもしれない。

比嘉は結果、KOで試合を仕留めたものの、今後の防衛戦で倒しそこなった場合に今日の村田みたいな形で王座陥落の可能性は十分にあり得るかも。

さて、村田。

過去、様々な企業からサポートを受けてキャリアを積んできた村田のボクサー人生のある意味、集大成でもあり、陣営には敗北という選択肢はあり得なかったはず。

だからこそ、一時期、傾倒してた左ジャブを使うスタイルでなく、自身のストロング・ポイントを打ち出した、ゴリゴリしたファイター・スタイルを選択したのだろう。これはある意味で成功したが、ある意味で失敗したことになる。

エンダムとの比較で強さを押し出した点では成功と言えるだろう。

足を使ってせわしなく手を出すエンダムと左を差し合い、足を使うスタイルで勝負するとスピードに翻弄される不安がある。

だから圧力をかけて削っていくスタイルが奏功した。3Rまでの手数の少なさが4Rのダウンを呼び込んだ部分も多分にあるのではないか。

 

逆にこのスタイルだと手数が出ず、自分の距離になるまでパンチが打ちにくいので、有効打が打ち切れない場合にダメージが無くても、失うラウンドが出てくる。

ガードの上からでも叩いてればポイントになるのかという意見があったが、村田が空振りを繰り返すか、手を出さなければ、ガードの上からでも当たったパンチが優先される。ましてラウンド・マスト。

微差でも10-9をなるべくつけるのは世界の趨勢。

本田会長ははやる村田を抑えたみたいだが、やはり遮二無二ポイントを取りに行く姿勢は必要だったかもしれない。最終ラウンドのエンダムの戦い方は明らかに勝ってると思う選手が見せる逃げ切りにも見えたので、そういう意味ではエンダム陣営の方がポイントを正確に把握してた様にも見える。

こういう試合だと、見る人によって感想はまちまちだし、いろいろな意見があると思うが、短絡的な結論を出す前に音を消したりとか、見る角度を変えて何度でも見直して検証すべきではないか。そういう掘り下げ方をするのもマニアの楽しみとは言えませんか。